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旧石器時代の生活

旧石器時代は、およそ4万年前から始まり1万5千年前位まで続いている。 それだけ長ければ、当然その環境・生活スタイルも変化する。その変化をここでは少しまとめてみる。

旧石器時代の移り変わり
年代 生活・出来事 メモ
4万年〜2万9千年前 後期旧石器時代前半
日本人の祖先により石器が作られ始め
  その後、石器が広く使われるようになる
大型獣の狩猟・解体が行われる
局部磨製石器の出現(石斧も含む
環状ブロックが営まれる

かながわ考古学財団考古
学入門講座第5回ナウマン
象に出会った石器たち

「千葉県池花南遺跡の
環状ブロック群とムラの
復元図」(pdf注意)より
2万9千年前 アジア・ヨーロッパに鹿児島県姶良カルデラの巨大噴火で日本列島広域に火山灰が降り積もった。 旧石器時代を前半・後半に分ける出来事
2万9千〜
1万5千年前
後期旧石器時代後半に突入
温暖化のため、大型獣の狩猟が困難
  ⇒シカ・イノシシ・ウサギなど中小動物が獲物へ
↑ に伴い、目的に応じた様々な石器に細分化
「過去5万年間の環境の変化と人類活動」 に石器の種類が書いているので参考に。サイズ大きめ)
環状ブロックが少なくなる
(狩猟のための密な集団生活の必要性少なくなった)

長野県・矢出川遺跡より出土
日本旧石器学会日本列島の旧
石器時代遺跡「矢出川遺跡」


ナイフ形石器群と細石刃石器群
という二つの時期の石器群が出
土。写真は、細石刃と細石刃石
核と呼ばれるもの
15万〜5万年前 後期旧石器時代後半の中でも縄文直前の時期に
  突入
温暖化加速
  (針葉樹が減り、ナラ・ブナ・クリなど落葉樹増加)
海面の上昇と陸地の変化
  (旧石器時代の生活跡の多くが海底に)
石斧の再登場と石槍の凝りの究極化

出典:日本旧石器学界旧石器
時代の教科書「過去5万年間の
環境の変化と人類活動」
より

落葉樹は増減を繰り返してい
るが、大体1万6千年頃より落
葉樹の比率が安定してきてい
ることが見ると明らか。

海面のみに着目したのが下の
グラフ


出典:wikipedia「海面上昇」
20の部分が2万年前



以上のように、旧石器時代は気候の変動に大きく影響された時代でもあった。 また、様々な石器が生み出され使用されることになったが、それらの石器は南北のルートで大陸から伝わってきた可能性が高いという。


縄文時代直前の気候変動にどう対応したか?

温暖化が加速し、海面が上昇。それまで生活してきた拠点が徐々に海に侵食されるといった危機に対して、 旧石器時代の人々は大きく二つの方向性に分かれて対応しようとした。

この時期に出土した品などから『細石刃を装備した集団』と『石斧と大型ヤリを装備した集団』がいたという事が分かっている。それぞれ生きるために重視した事柄が異なっているので、少し見てみよう。


その他、相互に交流したり折衷的な人々(両方を取り入れたような人)もいた。なお、ネットワーク重視とはコミュニケーションを活発にして、協力し合い危機を乗り越えようとしたことを指している。


この後縄文時代へと徐々に移行するが、縄文直前のネットワーク社会を引き継ぐような形となる。 なお、石斧や大型ヤリを使っていた社会(=神子柴型の社会※左メモ「再登場の石斧と大型ヤリ」参照)を縄文時代の括りに入れている学者もいる。

     

メモ

 再登場の石斧と大型ヤリ
最初に長野県の神子柴遺跡で発掘されたことから、これらの磨製石斧や大型ヤリを神子柴型石器などと呼ぶ。 使い勝手が悪く実用性に欠けているが、技や出来栄えを誇示できるようなメッセージ性の高い道具である。 どんな場で使われたかは不明だが、社会的なコミュニケーションを促すのに一役買ったと考えられている。

参考書籍



 メモ

 前期旧石器時代はないの?
外国の旧石器時代は考古学区分により前期・中期・後期に分けられており、日本の時代区分もそれに倣っている。

が、日本の国土は酸性の土壌で骨などが残りにくいため、日本の旧石器時代に前期や中期があったのかは謎なままである。 なお、確実に生活していた約4万年前の遺跡の特徴は後期のものと一致。


 日本人の祖先?
日本人の祖先参照
石器自体は4万年以上前から見つかっているが、生活痕もなく遺跡自体も数が少ない。

 大型獣とは?

出典:wikipedia「マンモス」
日本で発見されたマンモスは、北海道と島根県の日本海・海底200mから引き上げられた標本のみ


出典:wikipedia「ナウマンゾウ」より

出典:wikipedia「ヘラジカ」
現在の日本にはいないが、今でも寒い地方で生息している


他にも・・・
ヤベオオツノジカ
  (既に絶滅)
ハナイズミモリウシ
  (野牛の一種)
ヒグマ
  (当時は九州北部まで生息、
  今の日本は北海道のみ)など

参照:古世界の住人「ケナガマンモス」「ナウマンゾウ」「ヤベオオツノジカ」「ヘラジカ」「ヒグマ」 岩宿人のくらしをさぐる 学習シート[U-5 どんな動物がいたのだろうか?(pdf注意)]


 石斧が使われた理由
実は、局部磨製石斧は見つかったものの中では今のところ日本の物が世界最古。

基本的には大型獣の狩猟・解体や木材の伐採に使われたと言われている。が、厳密に言えば時期と使用目的に矛盾がある、という人もいるらしい。

石斧がなくなったのは3万年前で大型獣がいなくなる前。 更に、木材の伐採ならその後も使われ続けるのに廃れた点から農耕で使用した可能性を指摘する人もいる。 数年から十数年のスパンで変動する気候についていけなかったことで石斧が廃れたという。あくまで一説であり農耕説はかなりマイナーです。

他にも、環状ブロックとほぼ同時期に消えていることからシンボル的な意味を持つ石器だったのは?という説も。


 大型獣が姿を消した影響
狩猟の対象が大型獣から中・小型獣に変わり、大人数での集団生活が小規模化。

環状ブロックが少なくなった理由でもある。

 「凝り」とは?
使うだけの目的には不必要な、実用性を超えたもの。 ホモ・ハイデルベルゲンシス以降に見られるようになり、 形や質感への凝りによって多様な意味を含ませることが可能になった。

左のメモへ。